「施工計画書」とは?その基本情報や施工計画書に記入する内容について

施工計画書に記入する内容の詳細について

(1)工事概要
・・・施工計画書を作成する上で、最初に記載する内容が「工事概要」の項目です。この項目には、工事目的をはじめ、工事名や工事を行う場所、工期、請負代金、発注者名や連絡先、請負者(受注者)名や住所、連絡先などを記載します。また、その下に記載する「工事内容」には、工事区分をはじめ、工種、種別、細別、単位、数量等を記入します。尚、工事内容に関しては、工種が一式表示となるもの、または主体工種以外に関するものは、工種の項目だけを記載することも可能です。
 
(2)計画工程表
・・・「計画工程表」には、それぞれの種別に関する作業の始め、そして終わりが分かるネットワーク、バーチャート等を用いて作成するようにします。尚、計画工程表を作成するにあたり、降雨や気温等の気象が施工に影響を与えるような工種に関しては、過去の気象データ等を十分に調査した上でその内容を工程計画に反映させる必要があります。ここで作成された計画工程表は、施工計画書に使用するために一部、現場の工程管理用として使用するために一部と、それぞれ別で用意しておく必要があります。これらの契約書に添付されている工程表とその内容が整合しているか、施工量や施工時期が各工種の工程に合わせて考えられているかどうかをよく検討することも大切です。
 
(3)現場組織表
・・・「現場組織表」には、工事現場における組織の編成をはじめ、命令系統に関する業務分担等が分かるように詳しく記載する必要があります。監理技術者をはじめ、専門技術者を置く必要がある工事に関しては、現場組織表にその内容が分かるように詳しく記載する必要があります。現場組織票を確認しただけで、その工事の関係者が社内の体制を確認できるように、「現場代理人」をはじめ、「主任技術者」、「技術関係者(労務安全担当者、火薬類取締保安者 、安全巡視員、交通安全担当者等)」、「事務担当者(現場事務担当者、資材担当者、労務担当者)」等の項目を記入する必要があります。
 
(4)指定機械
・・・「指定機械」の項目には、事前に作成されている設計図書で指定された機械に関連することを記載します。例えば、機械名や規格、使用する機械の台数や工種などを記載します。また、機械を使用したときの騒音や振動、排ガス規制、操作の基本操作など、特記する必要がある機種を使用する場合は指定機械として、この項目にしっかり内容を記入する必要があります。尚、指定機械という項目のほか「主要機械」と記載されている場合もあります。
 
(5)主要機械
・・・工事で使用する「主要機械」の名称、規格、台数、使用する工種などを表にしておきます。工事現場によっては、特殊車両が行き来して資材などを輸送する必要があるため、このような車両が必要な場合には摘要の項目に記載する必要があります。尚、施工計画書によっては主要機械という項目のほか、「指定機械」と記載されている場合もあります。
 
(6)主要資材
・・・工事現場で使用するために指定された材料、および主要資材などに関する詳細を記入するのが「主要資材」の項目です。ここには、主要資材の品名をはじめ、規格、予定している資材の数量、製造業者名、品質証明、納入の時期などを詳しく記載します。工事現場で使用するすべての材料を細かく記載する必要があります。
 
(7)施工方法
・・・「施工方法」には、一般事項として作業時間や休日などを明記します。朝礼から始まり、作業開始や午前休憩、昼食、午後の作業開始時間や休憩、後付け、作業終了、作業終了時の確認時間などの作業フローを詳しく記入します。各工種に合わせて施工手順や、施工内容の説明等の項目を詳しく記入する必要があります。施工を実施する上での留意事項に関しては、工事現場周辺の土地利用の状況や自然環境、近接との状況、施工実施時期(降雨や渇水時期等)、さらには施工実施をするうえでの制約条件等について記入します。
また、「仮設備計画」に関する情報としては、仮設備の構造や配置する場所の位置、概略図などを具体的に記載する必要があります。仮設備計画の中には、仮設建物や材料、機械、プランド等の機械設備、運搬路、仮排水などの「間接的設備」などの情報も記載します。
 
(8)施工管理計画
・・・土木工事施工管理基準や写真管理基準、品質管理等に基づき、管理方法について詳しく記載したものを「施工管理計画」といいます。さらに詳しく述べると、施工管理計画には「工程管理」をはじめ、「品質管理」や「出来形管理」、「安全管理」、さらには「写真管理」といった項目にそれぞれ分けて内容を詳しく記載します。尚、工程管理に関しては、ネットワークやバーチャート等から使用する管理方法について明記します。品質管理に関しては、土木工事施工管理基準及び規格値等に記載された内容を参考に、工種、種別、試験(測定)種目、さらには施工規模や試験の頻度や回数、管理方法などについて詳しく記載します。出来形管理は、工種のほか、形状寸法や測定基準、出来形図、出来形成果表などの項目を記載します。最後に写真管理に関しては、工事中の施工状況写真を撮る際の撮影項目や撮影時期、そして撮影頻度などに関して詳しく記載した表を作成します。
 
(9)安全管理について
・・・「安全管理」の項目には、工事現場の安全を管理するために必要になる責任者に関すること、組織づくりに関すること、安全管理を行うための活動方針などについて詳しく記載する必要があります。例えば、万が一事故が発生したときの「連絡方法」や「救急病院」等に関して詳しく記載し、関係機関や被災者宅等へ速やかに連絡を行えるように準備をしておく必要があります。安全衛生管理対策に関連する項目では、安全協議会の組織を含む「安全管理組織」をはじめ、「労務管理計画」、「危険物の保管方法」、「防火管理計画」、「再生資源の利用」や「環境対策」、「現場作業環境の整備」等を中心にさまざまな内容を記載するようになります。作業員が安心して作業を行えるように、工事施工中でも安全衛生管理計画の内容をもとに作業員への安全教育や訓練などを行います。毎日の活動としては安全朝礼をはじめ、安全ミーティング、作業場所の巡視、週ごとに行う点検や清掃、月例の点検や清掃、社内パトロールなど、安全管理活動として必要な取り組みに関する様々なことを記載します。
 
(10)緊急時の体制及び対応
・・・「緊急時の体制及び対応」の項目には、万が一の事故や災害等の緊急事態が起きた際に対応するための連絡系統図を記載します。連絡系統図には、現場の監督職員や関係機関、そして受注者等の連絡先などを記入します。工事中に考えられる大雨や強風、さらには地震などの異常気象が発生した場合に対する連絡体制を確立しておけば、万が一の事故や緊急事態が起きた際にも落ち着いてスムーズな対応を行うことができるようになります。尚、緊急時の連絡体制のほか、災害対策組織の編成、事故発生時に使用する緊急機材の一覧表なども事前に作成しておくと安心です。
 
(11)交通管理
・・・「交通管理」の項目には、工事を実施するにあたり交通事故の発生を未然に防ぐための「道路交通の安全」、そして「道路機能の円滑化」を図るために必要な手段や方法などを十分に打ち合わせした上で計画を立てます。例えば、交通安全対策の一つとして交通誘導人などを配置する計画、工事実施中の一時通行止めや制限時間を設けるなどの交通切り回し計画、現場内で使用される工事車両を運転する際の走行速度記載、使用資材や機械などを安全に運び使用するための輸送計画や工事現場への配置計画等、工事の実施に伴う交通処理、及び予備安全対策に関する様々なことを交通管理の項目に記載します。
 
(12)環境対策

・・・工事現場では、様々な資材や機械を使用して作業を行うことから、その地域で暮らす方々の生活環境を保全、そして円滑に工事を進めるためにも「環境対策」に関する項目を記載する必要があります。例えば、環境対策が必要なものとして、工事を実施したことによる水質汚染やゴミ、ほこり等の処理、騒音、産業廃棄物に対する処理、振動などがあります。発生する可能性があるゴミやほこり等に対してどのような処理対策を行うか、他にも近隣住宅の方々や地元の方々から寄せられる苦情対策等についても詳しく記載する必要があります。
 
(13)現場作業環境の整備
・・・「現場作業環境の整備」については、工事現場で働く作業員の健康に配慮することはもちろん、作業環境をより快適にするための整備方法等に関して色々と記入します。例えば、仮設に関連することをはじめ、安全や営繕に関係すること、さらには地域とのコミュニケーションに関わる計画等を記載します。現場作業環境の整備は、ある意味イメージアップを図るための計画であり、建設現場や工事現場と地域住民の方々が円滑なコミュニケーションを図るためにも必要なことです。
 
(14)再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法
・・・「再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法」の項目では、「再生資源の利用の促進に関する法律(リサイクル法)」に基づき、建設廃棄物をはじめ、再生資材の利用に関する詳細を記載します。内容としては、建設廃棄物や再生素材の種類や数量、建設廃棄物の処分先、さらには再生素材の処分先等の情報をまとめて分かりやすく記入します。
 
(15)その他
・・・「その他」の項目には、必要に応じて様々な内容を記述、或いは必要書類を添付します。例えば、「道路使用許可や消防署工事届けの写し」をはじめ、警察や市町村等の「官公庁への手続き」に関すること、「地元への周知」、「休日作業等の周知」、「工事図面」等です。
 

今回は、「施工計画書」に関する基本情報をはじめ、はじめて施工契約書を作成する際に押さえておきたい施工契約書に記入する内容について色々とご紹介しました。ここで挙げている項目をすべて記入するだけでも時間がかかりますし、場合によっては訂正をした後に作成をし直さなければならないケースもあるため、工事が着工される前に早い段階から施工計画書の作成準備を進めておくと安心です。